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執筆者の写真早大劇研20新歓

劇研の声|2020年度新人×旧エチューダー【対談編vol.1】


2021年度早大劇研新歓インタビュー企画『劇研の声-対談編-』、第一回は「2020年度新人×旧エチューダー(新人担当)」。



劇研員対談「2020年度新人×2020年度エチューダー」


今回は2020年度新人の田中優笑(たなかゆみ)さんと2020年度エチューダーの奥泉(おくいずみ)さんにお越しいただきました。昨年度、新人とエチューダーであったお二人に話を伺います!



互いの第一印象

―奥泉さんの第一印象は?


優笑 奥泉さんの第一印象は、ビジュアル的には細いなーとかそういうことですけど、ハキハキしゃべるなと思って。ずっと演劇してるっていうか、指摘する時も演劇してるみたいな。普段からハキハキ喋るのは、自分が一番苦手とすることでもあるんですけど、そういうのができる人なんだなと思いました。


奥泉 まあ、メリハリ出したかったってのはある。「(手拍子)はい、皆さんおはようございます。奥泉です。」って。


優笑 そうそう、それです笑


奥泉 何かの番組で見たことあるんだけど、手拍子入れると場が締まるっていう心理的なのがあるらしくて、意識的にか無意識的にか喋り始めるときは「(手拍子)はい、奥泉です。」ってよくやってたかもしれない。


―優笑の第一印象は?


奥泉 劇研の稽古メニューではさ、もっとがっつけみたいな、もっと自分をさらけ出せみたいなことが第一段階であると思うんだけど、そうすると、2種類に分かれるんだよ。初めからさらけ出せるやつと、どっかのタイミングで豹変するやつってので。優笑の場合は、どっかのタイミングで豹変するやつ、だったのね。


優笑 そうなんですか。


奥泉 そうだよそうだよ。だから、お試し稽古3回目だか4回目だか、結構きてくれたから、どっかのタイミングで開花したなって瞬間があって。(お試し稽古の)最後日かな、バーっと「もういいや!好きな食べ物言います!」みたいなこと言って、「梅干し!梅干し!梅干しはな―!」って感じで言ってる時に、あ、今一個壁を超えたなって思ったんだけど。最初はそんなに印象には残ってなかった。ノートとか見返すとあんま優笑のこととか書いてない。「大人しいやつ」って印象で。でも2回目から劇的に違ってて。その意味では飲み込み早いなあっていう印象が一番かな。今まで来てる中で1、2を争うレベルで飲み込みが早いって思ってる。そうそう適応能力。その適応の瞬発性みたいなものを俺はすごく評価してた。すごいなあと思ってたところではあるかな。


優笑 なるほど。



新人訓練を通しての変化

―稽古をしてて自分の中でどんな変化を感じた?


優笑 なんだろうな、自分の姿勢としては最初から別にそんな変わってなくて、ここのお試しに来た時から、もう死ぬ気でいって、ダメだったらやめようみたいな、それくらいの気持ちでいってたので、あんまり自分の気持ちとしては変わってないです。まあその、発声が上手くなったとか、エチュードに対しての恐怖心が薄れたってのはありますけど…


奥泉 とりあえず出てって繰り返したら…


優笑 そうですね。私たぶん数では結構負けてないんじゃないかな。


奥泉 それはそうだと思うよ。


優笑 はい。


奥泉 でもやっぱ、どうにかしなきゃと思って、取り組もうとしている姿勢そのものがよかったんだと思うな。あくまでこの場でってことだけど、すごく適してたっていうか。順応できた要因の一つではあるのかなっていう。まあ、あんまこういう言葉でまとめるのも好きじゃないけど、いわゆる向上心的なやつが一番強かったんじゃないかな。


優笑 印象に残りたくて。


奥泉 あ、そっちなの?わざと?あれ。


優笑 あ、あの質問しに行ったのとかですか?


奥泉 うん。


優笑 そうですね。それもありますし…


奥泉 あざと!


優笑 笑笑、そうですよ。あの、お試し稽古の「3分間自己紹介」(←稽古メニュー名)とかの時に毎回(舞台上に)上がってたんですよ。でも1日だけ上がれない日があって、終わった後に、「今日は上がれなかったんで、明日は絶対上がります」とか言いに行ったりして…


奥泉 あーなんかあったね。


優笑 とにかく記憶に残りたいと思って。


奥泉 いや、残ってたけどね笑


優笑 そうですか笑



―優笑が一番苦手だった稽古メニューは?


優笑 苦手なの…、発声は最初苦手でしたよ。


奥泉 そうだね、発声。だから、今も、最初に比べたら、喋り声とか如実に変わってきてると思うよ。実感はあんの?


優笑 実感はありますね。電話とかの時にもごもごしてたのが、そうでもなくなったかなと思います。


奥泉 へー、よかった。


優笑 はい。


優笑 エチュードとかも最初めちゃくちゃ苦手でした。


奥泉 最初から得意なやつって相当キレもんだから。なかなかそんな人いないから。


優笑 センスみたいな…


奥泉 まあ、毎年いないよ、最初から完成形のやつなんて。みんな苦手だから。難しいもんね、そもそも。優笑はまあ、本当に何か要所要所だった感じがする。


優笑 そうですよね。


奥泉 めちゃくちゃいい時、優笑、主役じゃないことが多いんだよね。結構バイプレーヤー的に回してたり支えてたりすることが多いから。やっぱ、がっつこうとしてる時ほど上手くいかないんだろうね。だから、どうにかこの場を回してこうって考えてやったときに、そのエチュード全体を支えたりとかはあったのかな。



―奥泉さんが一番好きな優笑のエチュードは?


奥泉 あーーーーー、記憶に残っているものだと、いくつかあるんだけど、エチュード全体としてよかったやつだと、誰かに告白するっていうエチュードで、なんかそれみんなよくて、それぞれがキーだったんだけど。覚えてる?誰々の母ですって(優笑が)出てきたんだけど。


優笑 はいはいはい、覚えてます笑


奥泉 すごい上手くまとまってたなって。あとあれだ、「だからそれリンゴじゃないよー」笑


優笑 笑笑、あれは本当に音楽がずっと流れ続けて、なんかもう誰も出て来なくて誰か出て来なきゃいけないけど、誰も出て来ない、やばい、と思って。もう何も考えてなかったんですよ。そしたら、「だからそれはリンゴじゃないじゃん!」って言ってて…


奥泉 得てして、そういう極限状態でとりあえず出てみてやってみたことって面白いことが多いのよ。特にこのエチュードっていうさ、即興劇であることを前提とした見世物であるっていうのにプラスして、やっぱみんなそうなのよ。用意してきたものよりも突発的にやっちゃったものの方が面白いこと結構多くて。やっちゃった方がいいってのはあるかもしれないね。


優笑 それに関しては本当に出てたもん勝ちですよね。


奥泉 本当にそうだと思うよ。



―新人訓練中に優笑に対してこれは負けたわって思った瞬間は?


奥泉 なんか優笑ってさ、結構(新人訓練の)初めの段階で、表に出ようとすることを人よりはできる状態で、まあ結果を出してるにせよ出してないにせよ、一個これはでかいことだと思うのね。加えて発声や身体の基礎の部分はしっかりできてて、まあ言っちゃえば優等生組みたいな感じではあったじゃん。だから逆にね、つまんなくなっちゃったらどうしようって思って。一個常にハードルを与えてないと飽きちゃうかなと思って。そしたらじゃあ「まだ俺がいるけど」みたいな、そういう…


優笑 そうですね、言ってましたね笑


奥泉 「一番だと思ってるでしょ、まだ俺がいるから、お前ナンバー2だから」って。


優笑 いや、突然呼び出されて、そういうこと言われて、いや敵だと思ってますけどって思って。


奥泉 やっぱ俺は気持ちよく負けたいっていう性癖を持っているから。負かしてくれ負かしてくれって思ってて、まだ負けてないっていう俺のつっぱりもあったし、だから俺も指導者と生徒とかいう関係じゃなくて、「お前殺すからな」みたいな感じでみんなに来てほしいという思いがあったから、わかりやすく焚きつけようと思って。稽古期間もさ、舞台上にいる一人と俺の勝負みたいなところもあるしね。


奥泉 で、その負けたって思った瞬間、明確に一個あるのよ。それが、優笑がたまに(舞台上で)キレ散らかしてる時とかあったじゃん。


優笑 そうですね笑


奥泉 その時にさ、俺は近くのフェーダーの音を上げたり下げたりとか、演出家としてメモしたりとかしてたから、ときどき目線を落としながら観てて。 (舞台上から)客席を見るって結構ハードルの高い行為なんだけど、優笑は俺の一挙手一投足をよく見てそれを拾って攻撃するってやってて、あー良く見えてるなとずっと思ってて。それで一回、俺がいいと思ってメモした時に「おい、下みんな」ってめっちゃ怒鳴られて、その瞬間に、ビクってなっちゃって、立場変わった?と思って。「あ…、おっす」みたいな感じになっちゃったのが、一番負けたって思った瞬間だな。


優笑 初めて聞きました。


奥泉 まあ、言ってなかったからね。めっちゃビビったのよ、その時。マジでピッてなったもん。すいませんって。


優笑 そうですよ。だって、その時めっちゃ目線合ってて、「私を見ろよ」っていうことを絶対言ってたのにメモり始めてたから今はメモる時じゃないって思って、一挙一動にケチつけてました 。


奥泉 すっごい怖かったよ。あと、まあこう見てて、俺これできるのかなあとか俺これできないわみたいな。自分基準で自分ができないようなことをやられると基本的にあ、負けたと思って、その負けたって思った瞬間にすごいって思う。


奥泉 全体的に(優笑は)器用不器用な感じじゃん。根本不器用だけど、表面器用みたいな。だから根本は(自分と)近いような感じはしてたの。そういう意味で俺より飲み込みは早いなって思ってたし。そうね、どっちかっていうと俺が負けたくないって思ってたのよ。負けないようにしなきゃって思ってて。優笑も含めて、他の人も、もちろんそうなんだけど、俺が負けたくないってずっと思ってた。



新人訓練とは

―自分にとって新人訓練とは?


優笑 新人訓練とは、んーまあ、でも長いオーディションだと思ってたので、ほんとその気持ちです。


奥泉 なるほどね。これずるい回答かもしれないんだけどさ、俺未だによくわかってないっていう笑


優笑 はい笑


奥泉 結局何なのって言われた時にスッと出てくる答えは未だに明確にはない。これって毎年、新人とエチューダーが見つけるものだと思ってるから、劇研だからとか新人訓練だからとかその枠組みを意識し過ぎちゃうと、ちょっと損なわれるものがあるかもしれないというか、よっぽど互いに見つけようって気持ちが強い方がその時の答えは見つかるんだろうなって思う。けど、その人たちにとってもそんな客観的な言葉はないんだろうな。


奥泉 そもそも、なんで2年連続でエチューダーやってんのってのはあるんだけど。もちろん劇研にいて就職する人もいるし、役者を極めたいと思ってる人も3、4年経ったらもうここにいるんじゃなくて外でバリバリやりたいという人もいて、俺もまあ自分のことバリバリやりたいってのも、もちろんあったんだけど、その前に一個、俺に今欠如してる、俺が今一番やりたいことっていうのが、「人にちゃんと興味を持つ」ことだったのよ。


優笑 はい。


奥泉 それが、あんまり得意じゃなかったというか意識的にできてなかったことで、それをもっともっとやれれば自分はきっと役者として何か得るものはあるはずだっていうのが一個、(エチューダーを)2年目にやるスタートで。


奥泉 やっぱ、自分がもっと知りたいもっと見たいもっと聞きたいってやると、帰ってくるものも結構心地よかったりするということがわかったのね。だからもっと開かないとって。ずっと閉じてきたからそれをもっと開かなきゃっていうことをちゃんと体験できた。演出家に徹した、それも初めましてだった人たちを迎えて、この人はどんな人なんだろうっていうことに費やした2、3ヶ月があったことによって、久しぶりに受けたオーディションとかワークショップで自分の芝居が変化してたのよ。


優笑 そうなんですか。


奥泉 そう。


優笑 どう言う風に。


奥泉 開けてた。すごく閉じて閉じてやってたのが、今こうやって話してるみたいな感じの心や体のまま、台本でもそれができるような体になってて。


奥泉 (エチューダー)1年目の時も2年目の時もずっとこれはあくまで自分のためっていうのは前提として変わらないんだけど。自分のためっていう前提がありつつ、その上でそこにいる人たちと何が見つけられるのかってことを探すということ自体が醍醐味な気がしてて、だから答えが先にあるわけじゃなくて、今も答えはないけど、見つけようとしたその過程っていうものが答えな感じはしてる。


優笑 新人訓練終わってどうだったって言われた時に、まだ足りないなって思うんですよね。


奥泉 まあだってやってないからね。試演会ね。


優笑 そうなんですよね。率直にまだ足りないんですよね。すごく。


奥泉 俺もちょっと物足りない。過渡期一迎えただけな感じはするから。


優笑 はい。いつの間にか終わってたから。


奥泉 こっからだったはずなんだよね。ほんとは。


優笑 はい。



ー優笑はこれからどんな風になりたい?


優笑 うーん。なんか高校でやってた時、私はあんまり役者に向いてないと思ってたんですよ。だからここに来たのもガンガン役者やろうと思ってたわけではなくて、脚本とかやりたいなと思ってたんですけど、でもまあ最初に役者として鍛えられるということをしたことがなかったので、一回それをやられてみようと思って来たんですよ。


優笑 高校の時はお前無個性だなって言われてて、何も無いって言われて、普通にサブの女子高生の役みたいな感じだったので。なんか自分、無個性って言われるとすごい嫌なので、何か見つけてもらいたいなというのは凄いあって。そのためには自分がどうにか発信しなきゃいけないので、新人訓練で発信することが出来たのかわかんないですけど、発信していって誰かに見つけてもらいたいっていうのは、今ありますね。



奥泉 なるほどね。俺もずっとそうだよ。誰かに見つけて欲しくてずっとやってる。個性って言葉難しいよね。個性って言葉をさ、ずっとやってくにつれて何回も捉え直してるんだけど、一個指標があって。みんな生い立ちとか学校とかちょっとずつ違うじゃん。あるある的に共通してる項目はいっぱいあるけど、ほんのちょっとずつ違うじゃん。だから個性っていうのは人生そのものだと思ってて、無個性なんてことは基本的にありえないと思ってるのよ。で、たまにいるじゃん、めちゃくちゃ個性的だなって人。そういうのはある意味例外で、もう突き詰めていけばみんなストレートにやるだけでそれが個性だと思っているから。そういう意味で優笑は本当にその道のりでストレートに出したものが今個性になってると思うから、まあだから俺は構図的には見つけたってことでいいのかな?笑


優笑 笑笑、いや見つけてもらえたのかなっていう…


奥泉 俺は見つけた気になってるけどね。だからもっとそのままやってけば、他にも見つけてくれる人が現れてくるんだろうなと思う。でも結局物足りないっていうことは、やってくしかないのかもしれないね。劇研の2年目もまた、色々気づけたり気づいてもらえたりすることがいっぱいあると思うから、まだここにいて、存分に活かしてくれればいいんじゃないかな。



最後に

―これから入る新人に向けて一言


奥泉 まだ見ぬ人たちだからさ、わかんないじゃん。ブラックボックスだから。だからまずは、むしろ自分の直接関わった人たちが(2021年度の新人たちに)どう関わっていくのかなっていうのが一番関心が高いところだね。あなたたちが関わっていく姿がよければ、きっとそれに反応して「いい」って思ってもらえるから。そいで、きっといい姿をしてると思う。だからまずは来てもらって、それで初めて分かるから、とりあえず来てみて、見てみてほしい。


優笑 そうですね。自分はやっぱ敵が多い中の方がよく動けるなっていうか、仲良くなるっていうのもすごい大事なんですけど、敵が多い方が良い風に動けてるなって思って。最終的には味方が多い中で自分が1番輝けるっていうのが理想なんですけど。今、そう思ってるので早く新しい人来てくれないかなっていう。


奥泉 新しい敵を笑


優笑 そうですね笑 今新しい敵を求めてます。すごく。


奥泉 でもまあ、取り組み方としてはそういうことかもしれないね。あくまで対等で負けねーぞっていう思いでいたら多分それに反応する人もいると思うから。


優笑 はい。今すごくそんな感じです。なんかもう早く…


奥泉 負かしてくれる人来てくれみたいな。


優笑 はい笑 今そういう気持ちですね。



田中優笑さん、奥泉さん、ありがとうございました!

次回は「演劇未経験者×演劇未経験者」。4月23日(金)公開予定です。お楽しみに!


 

【早大劇研2021年度新人募集】

18歳以上100歳未満。

大学、所属、経歴、一切不問。

例年の入会までの流れ、新人訓練などについてはこちら

今年度の入会意思決定日は6月13日。

新人試演会は9月5日(予定)。

最新情報は早大劇研公式Twitterで公開。早大劇研Instagramも更新中!

 

【早大劇研“再生”企画公演『サンカク』】

サイカイ、カクサク、カイサイ。

“再生”などと大仰な看板を掲げて打ち立てる4年ぶりの企画公演。

参画するは三人の脚本家。

「だれが一番おもしろい演劇を作るか。」

実績なき原石たちのイス取りゲーム、いま開幕。


奥泉が企画責任を務め、田中優笑が公演内の作品『Saudade』に出演します!


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