新歓対談企画「劇研の声」。第三弾は相本玲旺(3年代)と、新歓公演『轟音トラッシュ』で音響チーフを務めた樺香(2年代)が登場!
「とんでもない所に来てしまったかもしれない。」
玲旺 樺香はさ、なんで劇研入ろうと思ったの。
樺香 元々演劇とかをやったことは無くて、演技の勉強とかしたいなって思った時に、ちっちゃい頃テレビで女優さんが演劇やりたくて早稲田を目指したみたいな話をしてたのを思い出して、それで調べて出てきたって感じです。
玲旺 そっか、ここ未経験者の集いってことで集められたんだっけ。元々なにやってた?
樺香 私は放送部で。演劇とか舞台とか全然知らなかったんです。
玲旺 そうだったんだ。
樺香 何かやってたんですか?
玲旺 俺サッカーやってたんだけど、それまで演劇をやったことはなくて。サッカー部って、イメージ湧くと思うけどお調子者がたくさんいるじゃん。うちの周りにもいて、漫才やったり、人から笑いを取るみたいな人が多くて。俺はそうやって出すタイプじゃなかったから、漠然と(憧れが)あって。コロナでフットサルとか入れなくて、何しようかなって思った時にやってみようと思って演劇を。
玲旺 一歩踏み出してみようと思って。劇研に入った理由ってたくさんあると思うんだけど、本当にふわっとしてるというか。俺は自分の性分的にやるなら本当にガチでやらないと納得いかないって思ったから、一番本気になりそうな所って思って。知名度があったっていうか。雰囲気も見て。劇研と木霊さんに行ったのかな。
樺香 そうなんですね。
玲旺 木霊さんもすごい良かったんだけど、迷った挙句本気でやりたいなら劇研なのかなって思って踏み込んで。
樺香 そうだったんですね。私は劇研がガッツリやってるの知らなくて。
玲旺 そうだったんだ。知らなくてなんで。
樺香 ツイッターで調べて、一番歴史古いって書いてあるからとりあえず行ってみようと思ったら、とんでもないところに来てしまったと思ったんです。初手でそれだったんで、早稲田やべえと思って(笑)。
玲旺 分かる俺も入った日の夜に、「俺はとんでもない所に来てしまったかもしれない」って思ったんだけど、今思ったら入って良かったなとは思ってる。
樺香 もう一回知った上でお試し(稽古)行ってみようかなとか思ったりして、木霊さんと私も迷ったんですけど。
玲旺 アトリエがあるのはいいなと思った。場所があると後々思い出の場所になるっていうか、そういう場所を持っていたいなと。それでその2つかなって勝手に思ってたんだけど。
樺香 そうなんですね。私早稲田生じゃないので、単純に学生会館が怖くて。学生会館にあるサークルにどうしても行きたくなくて。本当にただビビって選んだんですよね。
――ちなみに樺香が最終的に劇研を選んだのは何故?
樺香 「アップ」っていうメニューがあるじゃないですか。
玲旺 あるね。
樺香 あれを最初に見ちゃったんですよ、遅れて入ってきて。インパクトが凄くてその印象が残りすぎて。もう一回行ってあれ(アップ)はただ自分がインパクトを受けただけなのか、シンプルに良いと思って印象に残っているのか確認しようと思って、そこから何回かお試し(稽古)行ったんですよね。それで「これはたぶん私良いと思ってるんだろうな」って思って、入ったんです。
玲旺 お試し(稽古)の時から指摘とか受けるじゃん。「○○した方がいいよ」みたいな。きついなって思ってたんだけど、なんだかんだここでやめたら負けっていうか。そういう人が多いのかな劇研来る人って。なんで辞めなかったんだろうって話をした時に、途中で辞めるのってしゃくだよねって。
樺香 そうなんですよね。
玲旺 だから俺はエチューダー(新人訓練の指導を担当)に負けたくないっていうのもあって。「やってやるよ」って。
「新訓中面白いと言われなかった。」
――新人訓練はどうだった?
樺香 私は、新訓は大変だったけど終わった後に結果的に劇研が自分の中ですごい楽しい環境になってて。
玲旺 分かるよ。居やすくなったっていうか楽しくなったっていうのはあれかな、新訓に一緒に受けてた人達との関係性が深まったからっていう。
樺香 ですね。学校以外に自分の居場所じゃないですけど、劇研自体が自分が居やすいところの一個になったんで。同期とか先輩とか話しやすい方が多くて。
玲旺 話しやすいし、稽古でもバッチバチにバトルしたりしてるからさ。プライベートであんまり喋ったことは無かったのにあれこんな仲良かったっけ?って
樺香 なんか話しやすいですよね。
玲旺 話しやすい。話しやすいというか旧知の仲みたい。中高の頃から一緒だったみたいな。
樺香 あれ新訓やってないと絶対なってないなとは思います。
玲旺 そうだね凄いよね新訓っていうのは。
樺香 その分結構追いつめられたりしたんですけどね。
玲旺 俺なんかも、未経験だったから何か生み出すって言うか、自分でこれが面白いだろうとかやっていくのはやったことないから辛かったし。なんなら新訓中に面白いって言われたこと全然無くて。
樺香 分かります(笑)
玲旺 緊張とかもあったのかな、そうですね。そうは言ってもらえなかった(笑)。
樺香 新人訓練の時にタメになったなって思うのは、身体だったりしました。目に見えて周りも自分も良くなってるのが分かるので、その時は「あ~めっちゃ身体作り出来上がってきてる」って思ったんですね。
玲旺 俺エチュードができなくて身体が得意だったから。身体が安らぎだった。決まってるからさ型が。
樺香 分かります。
玲旺 でも人によって身体辛いって人もいたから、どっちにしろあるだろうなって思って、自分の課題が。
樺香 何かしらきっと人それぞれ課題は出てくるんですよね。
ナポレオン3世で開花
玲旺 俺、さっきも言ったんだけど、新訓中鳴かず飛ばずというか。あいつ何も特徴なくね、みたいな感じだったの本当に。それって緊張とかはあったんだけど、舞台をやるのが本当に怖くてガチガチになってて。それでも無理やり舞台に上がってはいたんだけど、頭真っ白になっちゃって。なぜか今の1個下の代のお試し稽古の時、色んな人に開花したって言われたんだけど。その時のエチュード(即興劇)を見て「公演出ない?」って言われたり。
樺香 えっそうなんですか。
玲旺 たぶん緊張が無くなって、もっと楽しくやったら面白いんじゃないかみたいな。失敗してもいいからやってみようって気持ちになったんだよね。何やった時だろ、(エチュード内で)心電図とあとナポレオン3世やった時。
樺香 千秋さんのシャツ振り回してた時ですか?。
玲旺 そう。千秋(能見千秋/3年代)の上に乗って「ナポレオン~」って。だから遊ぼうって思っていった方が、どんどん面白いものを作っていけるのかなって思った。
樺香 新人訓練とかお試しの時ってアウェイ感がどうしてもあるんで、めっちゃ気張ってて。今の方がちょっと余裕があるから新訓でできなかった事をやってみようかなとか思うことがありました。
玲旺 やっぱあるよね。だから、新訓の時はビビッて上がれなかったけど、そんなこと気にせず上がって、自分が楽しければいいじゃないけどさ、試す方が良かった。難しいけどね。
樺香 難しいですよね。
筋肉キャラへの目覚め
玲旺 伸び悩むというか、何すればいいか分かんなくなったりする時あるけど、ある一点で急に開花する。
樺香 私、大体キレてる時に、エチューダーの人がすごいほめてくれるんですよ毎回。いつもいろんなことを考えて色んなことやってるのに、結局人に怒ってる時しか褒めてもらえなくて。
玲旺 そこを伸ばそうとしていたのかもしれない(笑)。
樺香 最後の方になった時に遼太郎さん(21年度エチューダー)が、その日だけすっごいニコニコしながら「樺香怒る役やればいいじゃん。誰かと喧嘩してよ」って。それでやったお話が新人試演会のシーンの一つに入れられたりとかして。
玲旺 でも、確かに俺も、エチューダーに言われてやったその時が突き抜けた時っていうか。何で突き抜けたかっていうと、一つはおネエをやった時。
樺香 (笑)
玲旺 「お前は弱い役とか女性っぽい役が似合う」って言われて無理やりオネエ役で出たら大ウケしたのと、2つ目は筋肉キャラに目覚めた時。自分に合うキャラを見つけて、突き抜けてったりするんだろうね。
樺香 エチューダーっていう存在がいたから。メンタル面とか3カ月自分を追い込む状態でも耐えられたのはエチューダーの方が色んなことしてくれたからかなーとは思いますけどね。
玲旺 相談のってくれるし。
樺香 そうですよね。普段の生活でエチューダーと同じ立場の人間いないじゃないですか。その時にしかいないような特別な存在ではあると思うんですけど、絶対必要だったなとは思います。
自分で舞台を作っていく
玲旺 劇研に入るとスタッフも結構やったりすること多いよね 。俺は元々どこの(スタッフ)セクションにも振り分けられてなかったんだけど、公演で音響さん必要ってなった時に先輩がすごい教えてくれて。凜さん(川合凜/4年代)なんだけど。それで仕込まれて音響やったね。でもスタッフって結構つらいというか、みんな演技したくて入ってきてるから「なんだそれ」みたいになる人も多いのかなと思うけど、やってみたら楽しくて。
樺香 分かります。
玲旺 舞台の一つを作ってるわけで音響と照明とか。音響なんかも、ここの音フェードでやってたらいいんじゃない、とか。やらされてやるんじゃなくて、自分で舞台を作っていくってスタンスで臨んだらマジで楽しいと思う。
樺香 いや、そうですよね。
玲旺 そういう意味では樺香はすごいと思う。
樺香 いや~、ありがとうございます。元々、音声編集を高校の時の部活でちょっとやってて。やってることとしては少し違うんですけど、じゃあ音響をやってみようってなった時に脚本・演出の人が欲しい音を自分でその公演に合うような感じに変えて、やった時にピタッってハマると気持ち良くて。自分でどんな音がいいかなって調べたりとか、やるのが楽しいですね。
玲旺 役者の一員っぽいよね、そういう意味では参加してるわけだから。あと劇研って脚本書く人が多かったりするけど、照明・音響・舞台と色々、総合で作っていかないといけないわけじゃん。そういう意味では全部できるし、舞台を作りたいっていう人からしたら勉強の場としては完璧なんじゃないとは思った。
樺香 思いました。アトリエ自体が結構大きいじゃないですか。で、そういう舞台で本当にプロの方が使ってるようなスピーカーとか機材を使ってどこまでやれるかみたいなのをしっかりできるじゃないですか。だから、基本的に役者入会だと思うんですけど、役者で入っても色んなことできるし、逆に役者入会だけどスタッフもすごい興味あるみたいな。
玲旺 五分五分で興味あるみたいな人だったら、本気でスタッフワークもできるような環境が整ってるんで。
樺香 良いですよね。
玲旺 あと劇研ならではだけど、音響はキャット上っていう天井の鉄格子みたいな所に登って。
樺香 すごい大きなスピーカーを。
玲旺 でっかいハシゴ立てて担いで。だから作ってる感はすごいあるよね。
樺香 達成感がすごい。
玲旺 学生であそこの広い空間を自由に演出できるのって凄いよねって今、改めて思った。
樺香 公演ごとに変えられるじゃないですか全部。スピーカーとかの位置も全部変えられる。凄いなと思います。
玲旺 スタッフワーク、俺はやってて楽しかったし、時間は割かないとないといけないけど、やってる時は結構楽しかったから。
樺香 楽しいですね。
「やりたいからやるし、居たいから居る人ばっかり」
――どういうひとに来てほしい?
玲旺 俺は気になってるなら、門戸を叩いてほしい。俺もそうだけど、飛び込んでみることってすごい大事だと思ってて。だからこれを見てくれてる全員に来てほしいし。ただやっぱり楽なわけじゃないし。楽しいけど。
玲旺 楽しいけど時間と労力を割かれる。結構厳しいこともあるから、見合わないなって思ってても頑張れる人が今残ってるのかなって思う。それだけガチではある。ガチだからこそすごい楽しいよね。そう思います。ずっと苦しいってわけじゃない。
樺香 そうですね。
玲旺 みんなやるときは本気でやって。それこそみんな人笑わせんの好きだし、勝手に舞台上がってって急に一発芸やるし。
樺香 結局やりたいからやるし、居たいから居るっていう人ばっかりで、そういう空間だから居心地がいいのかなとは思ってます。
玲旺 スケジュール的なことというか、心配がある人も多いと思うけど、それは本当に熱意になっちゃうんだよね。両立は出来る。
樺香 両立は出来る!
玲旺 俺はしようとしてた。やりたいこともあったし。なんなら大学の勉強とかもちゃんとやりたいと思ってたから。
樺香 そうですね。私も理系の学生ですけど。
玲旺 理系なんだ!?めっちゃ大変じゃん。
樺香 理系ですよ(笑)。実験終わった後に駆け込むとか時々やってて。白衣を着て実験して、培養とかやって、白衣脱いでそれトートバックにつっこんでアトリエに来て、エチュードしてたんです。
玲旺 えー知らなかった。まあでも無駄なことは一つも無いと思ってるから。
樺香 そうですね。私は現在大学生できてるんで。
玲旺 うん。ぜひ扉を叩くだけ叩いてみてほしいなって思ってます。
早大劇研公式YouTubeにて動画版「劇研の声」も公開中!
*樺香出演
新歓公演『Re:ビドー』
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