早大劇研OBOGをお招きし、『轟音トラッシュ』主宰である田中優笑とハジメマシテの状態でお話をさせていただくこの企画。
第二弾のゲストは2010年度入会、一色洋平さんです!
劇研に来た理由
田中優笑(以下、優笑):本日はよろしくお願いします。
一色洋平(以下、一色):お願いします!
優笑:まず今回の企画は劇研に入った目的を果たすために始めたというところが強いので、劇研に入った理由を少しだけ説明したくて。
最初に、私は高校演劇をやっていて、大学でも続けようという時に役者として修行できる場所を探していたというのがあり、でもそれよりも、私が新人のときに劇研にいた人たちがすごく好きで「この人たちと一緒に何かをやりたい」って思って入ることに決めたんです。
だけど、コロナとか時期的な理由もあってその好きな人たちがどんどん辞めていって、このまま何もしなかったらみんないなくなってしまうと思って。その前に絶対何か一緒にやりたいって、無理やり引き留める形で集めて始めたっていうのが企画意図になってます。
私が劇研で動く理由はそういう「人への執着」みたいな部分が大きいのですが、一色さんはなんで劇研に入るって決めたのか、なんで役者をやるって決めたのかを伺いたいです。
一色:僕は父親が脚本家をしているんですけど、それだけで小学校から高校までクラスでお芝居をやるタイミングで絶対に脚本を任されてきたんですよ。別に僕が書けるわけじゃないのに、なんとなくみんなが「お父さんが脚本家なんだからお前書けるだろう」みたいな感じで。何か面白いものを書かなきゃってプレッシャーを感じて最初は嫌だったんだよね。
しかも、みんな恥ずかしがって主人公をやらないから、脚本家と主人公の2つを強制的にやらされてきちゃった。優笑さんが高校から演劇をやってたって言ってたけど、演劇が面白いなって思うようになったのは実は高校からです。
僕は法政二高っていう高校に行って、今は共学なんですけど、僕がいたときには男子校で大量の男子生徒がいて、なんか死ぬほどイケメンがいたのね(笑)。辺りを見回すとほんとにモデルみたいなイケメンばっかりいて。偶然なんだけど。
それだから法政二高の文化祭は関東で一番女子高生が集まる文化祭って言われてたんですよ。毎年4万人くらい女子高生が集まるって言われてて、文化祭になると女の子の匂いしかしなくなるんだよね。すごい数の女の子が来るの。
それなのに、全クラス芝居をやるんだよね(笑)。もっとモテそうな企画とかやったらいいのに。そんな伝統が続いちゃったもんだから、学校の地下の倉庫に100台くらいピンスポットライトが置いてあったりして。
ここから早いクラス順で好きなの取っていっていいよって言われて、きれいな状態のピンスポット予約したりとか大きいスピーカー予約したりとか。学校の地下が不思議と演劇の道具で溢れてたんだよね。
極め付きは、お客さんの投票で良かったクラスが企画賞をもらえたの。1日に10ステージとかやってたから、良いお芝居を作ってちゃんとお客さんの心に響かせることができればお客さんもどんどん集まってくるし、燃えがいがあったんだよね。
1年のときに西部劇を作って企画賞をもらって、2年のときはタイムスリップもので企画賞をもらえることができて。
半分自慢なんだけど、3年のときには「一色と同じクラスになったら企画賞が取れる」ってみんなが言ってくれたんだよね。すげー嬉しかったんだけど、もう新学期からは本当にうつ病になりそうなくらい自分にプレッシャーがのしかかってきて。僕は耐えられなくなって三谷幸喜さんの作品をパクったんだよね、マイナーな作品を(笑)。
それで稽古を始めたんだけど、稽古が進むにつれて罪悪感の方が勝っちゃって、1週間くらいしたときにホームルームで教壇の前に立って「ごめん今みんなが稽古してるやつは俺が書いたんじゃなくて、三谷さんが書いたやつなんだよね」って泣きながら弁明したら、みんなが「そんなのいいに決まってんじゃん、一色が書きたいやつをかきなよ」って言ってくれて。それで新しくマンションの一室で巻き起こるワンシチュエーションのコメディを書いて、最後に企画賞を取ったっていう思い出があるんだよね。
その時から僕がずーっと今日の今日まで持ち続けているモチベーションがあって。昼間の男子校って動物園みたいにうるさいの。だけど放課後に文化祭の準備が始まると、誰一人喋らず一生懸命セリフを覚えたり、頑張って段ボールを切って舞台を作ったりBGMを探したり照明の練習をしたり。お昼の教室はあんなにうるさかったのに、綺麗な夕日が差し込む中でみんなが黙々と頭を悩ましている光景に俺すげぇ感動しちゃって。みんなお芝居なんて作ったことないんだよ。
もうすぐで舞台に70本出ることになるんだけど、毎回絶対にその光景を思い出すようにしてるの。だから今に至るまで、お芝居に対してビジネスみたいなイメージを持たないようにしてて、全ての起源がその教室の景色にあるから、全部ものづくりっていう言葉を使うようにしてるんだよね。
それでこんな素晴らしいことを仕事にできたらいいなって思ったときに父親に相談したら、じゃあ俳優をやるに当たっての条件が2つあるって言われて。一つは、舞台から始めなさい。テレビみたいなフィルターを通して観客に何かを伝えるんじゃなくて、まずは手の届くところにいる人を笑わせたり感動させられたりするような役者になりなさいよ、と。
もう一つの条件は、舞台っていうものをゼロから作れるところに行きなさい、稽古だけやってセットは他の人に作ってもらうとか、チケットが売れていく仕組みを知らずに舞台に立つとか、自分に当たる照明がなぜそこに仕込まれてるのかかそういうことをちゃんと知れる場所に行きなさいよと言われたんだよね。
「わかった」と言ったものの、それがどこなのかはわからなかったから、「おすすめの場所ある?」って聞いたら、早稲田の演劇研究会とか良いかもしれないって言ってくれて。父親は鴻上さんとか池田成志さんとかと同年代で、その人たちが早稲田の劇研っていう熱い場所から出てきたっていうのを知ってたから、あそこならお前も泥臭く芝居を始められるかもしれないっていうことで、劇研の名前を一番に出してくれて。僕は何にも知らなかったから鵜呑みにして高校の親友と2人でそこに飛び込んでお芝居を始めたっていうのが僕が劇研を選んだ理由と俳優を始めた理由かな。
優笑:すごくドラマみたいな話ですね
一色:まぁあの、ドラマみたいな話ではないんだけど、僕の教室で観た景色がどうしてもドラマみたいにすごくきれいな景色だったし、お昼にあんなにうるさかったやつらが誰ひとり喋らずに、お芝居を作るっていう一つのことにこんなに一生懸命になれるんだって、えらい感動しちゃったから忘れられないっていうか忘れたくないなっていう感じですね
新人訓練について
優笑:劇研に入ってから、新人訓練などはどういうモチベーションで取り組んでいたんですか?
一色:中高で陸上競技をやってたから、気合で乗り越えられちゃうところもあったし、体力的なところは大丈夫だったんだよね。
でも、こんなこと言いにくいし、今だから言えることなんだけど、同期への愛情が僕はなかったの。とにかくライバル視しかなくて。お試し稽古の時や新人訓練の時はたくさんいたけど最終的に9人になったのかな。同期っていうものが、一緒に頑張っていこうぜっていうスクラムを組む関係というより、同期の中でも旧人含めて劇研の中でも一番になりたいっていう。
同期は僕と信頼という意味で繋がりたかったと思うし、寂しい思いをさせてたと思う。でも僕が寂しかったかっていうと、どちらかというと自分が一番になりたいっていうモチベーションのほうが高かったから、寂しさを感じる余裕もなくて、劇研でどうやったら一番になれるかわからないけど、とにかく一番になりたかったという思いが強くて。
優笑:それは私も少し近いかもしれません…。一番になりたいみたいなのがすごくあって。私が劇研に入ったときに既に上の代が少なくて、私達の代が19人入ったんですよ。その状況で、同期の中でも一番になりたいし、劇研の中でも一番になりたいし、どうやって戦ったら一番って認めてもらえるかなって考えていて、去年の秋にも同期がいっぱい公演を打ってたんですけど、私は違う形でやるから絶対一緒にやらない、いっぱい打たれてる流れには乗らないでやろうって思って。この企画も、同期を1人も出さずに先輩たちだけを呼ぶみたいな変な対抗心があったり…。あと、今年度のエチューダー(新人訓練担当)もやるんですけど。
一色:そうなのか
優笑:自分が演出家として学ぶためにとか新人に会うのが楽しみとかもあるんですけど、不純な理由もあって、どうやったら認められるのか、この先一番になれるのかって考えてるところもあり、すごく今、ちょっとだけ共感したというか…。
一色:優笑ももうすぐか、今年の4月だったからもうすぐ新入生が来るのか
優笑:はい
一色:優笑は今年のエチューダーなんだよね
優笑:そうですね、緊張します(笑)。
脚本を書く
一色:(『轟音トラッシュ』は)結構少人数のお芝居だよね。今稽古どんな感じ?
優笑:本がまだ微妙で
一色:そっか。中盤って感じ?でも本がまだ微妙な感じか。
優笑:そうですね。私が初めて脚本を書くので。始めるきっかけは勢いでバーってやって、最初に一緒にやりたい人がいたので、内容とかがゼロで始まって、そこから練って、脚本書くのが初めてなので先輩方に色々聞きながらで進めています。
一色:でもそっか、やりたい人がいて、そこから始まってるっていうのは強いなって。例えばやりたい本があって、戯曲があってとかだと、でもこれをやれる人がいなくて、とかになるけど、でもこれやれる人はこの人しかいないけどイメージと合わないから少し戯曲を捻じ曲げてってなってくるよりかは、優笑がこの人とやりたいって心の発信源があるというのが一番強いところなんじゃんかと思ってて。脚本が上手くいかないとかもあると思うけど大丈夫だと思う。やりたい人が最初にいるっていうのが何よりも強みだと思う。
三谷幸喜さんの「東京サンシャインボーイズ」っていう最初の劇団があるんだけどご存知かな?なんでこんなに面白い芝居を打ち続けられるんだろうなって思った時にインタビュー記事を読むと、三谷さんが逐一「一緒にやりたい人しかいないからです」って答えてたんだよね。これって多分何よりも強みで、だから優笑も多分大丈夫だと思う。
脚本を全部は読めてないんだけど、少し目を通した時にト書で「こういうのをやりたい」っていうのが書いてあったじゃない。言語化できてないけど、この人たちとこういう画を作りたいとか、劇場をこういう時間の流れにしたいとか、多分優笑の頭の中にはあるんだよね。
だけど言語化するまでが脚本家の一番難しいところで、これを役者とスタッフみんなが読んで、あそこの島に向かいたいです、こんな冒険がしたいんですっていう航路を見つけるみたいなことが優笑の頭の中では羽化出来るんだけど、とはいえ、周りのみんなはキャプテンのあなたがどういう島に向かいたいと思ってるのか、僕たちはどう準備すればいいのか、どう船を漕げばいいのか、航海図だけは欲しいですっていう状態だと思うんだけど、キャプテンのあなたも、それを分かってるんだけど、もうちょっと待っててという状況だと思う。
困ることやあたふたすることはあると思うけど、手札は全部揃っているし、使い方はいくらでもあるから心配はしなくていいと思う。言語化するって難しいよね、脚本にするって。
優笑:航海図って本当にそうですね。やりたいものがあって、それを共有するための設計図みたいだって私はこの前思って。脚本書いても実際に読んでもらうと全然面白味が違うというか、人に台詞を読んでもらうことってすごいんだなと改めて感じてますね。
一色:僕が劇研にいた頃の一つ大きな後悔が同期を大事にしなかったことで。面白いことは思いついていたんだけど、具現化できないんだよね。どうしたらいいんだろうっていうのを相談すらできなくて。だから今優笑がある種、脚本演出っていう絶対的なキャプテン的なポジションにはいるけど、もし脚本を書くという段階で迷ったら、これはアドバイスというよりは、僕が後悔していることとしてお伝えし ておくと、頭にはあるんだけど、書けないんだけどどうしたらいいと思う?書けないんだよねって出演者にそのまま言えるというのはとても恵まれていることで、悩んでいるというのを出演者に丸投げしてしまうのも、いいことかもな。面白い創作の時間に繋がるかもなと思う。
また三谷さんの話になっちゃうけど、『笑の大学』って舞台が昔あって。戦争の時代って、ひとつのお芝居を打つのも検閲が必要だったんだよね。お芝居の内容がいわゆる非国民的じゃないかを警察に台本の提出ってのが必要だったの。お芝居は警察の中でしか進まないんだけど、ただコメディを打って人々を笑わせたいって作家と、ただお芝居というものを消したいっていう検閲係がバトルするっていう作品で、すごく面白いんだけどね。その中で、検閲係の人がそんなにあんたが描いた物語が面白いなら、今目の前で読んでみろっていって、その劇作家が頑張っ てよむんだけど、検閲係が全然面白くないじゃないかっていうのね。脚本家の人は必死でいうの ね、違う、今僕が読んでるつまんないだけで役者が読んだら面白いんだって。みたいなのを今優笑の話を聞いて思い出して、「自分が書いた頭にある音声と、役者が音にして読んでくれた時は全然違うんです。だから僕たちは稽古場でお芝居を作ってるんです」ってのを思い出したんだけどさ。
”居場所”
一色:優笑は何か憧れたお芝居とかあるの?
優笑:憧れたお芝居…高校生の時に演劇部に入って演劇に触れるようになってから、いいなって思ったもの、自分の好きな世界観はどんどん更新され続けているんですけど、最初のきっかけとしてはゴジゲンの『くれなずめ』という劇を観た時のことが強く残ってて。
地元に劇団が来たときに観て、同じ空間で、目の前で実際に起こっているのに私はその中には入れないという空気感が寂しくもあったんですけど、そんな空間が生まれることにすごくびっくりして。
自分が高校でやってたものも楽しかったんですけど、それとは全然違って。あっち側に行ってみたいなっていう憧れがあって、それが今回は一番やりたいことで、実際表れることは全然違うかもしれないんですが、私が演劇をやってる根本みたいなものではあります。
一色:優笑にとって”居場所”ってすごくキーワードみたいになってるのかもしれないね。
優笑:そうですね。でも叶わないみたいな部分も大きくて。劇研に対しての考え方も時間が経つに連れて変わってきて、今は劇研に居場所を求めているとかではないんですが、今回の企画ではずっと考えていることだなと。
一色:色々な関わり方があると思うけど、その居場所っていうのはお芝居の世界の中での居場所を求め続けたいって感覚なのかな、それとも演劇以外の世界にも居場所があるかもしれないのかな
優笑:そうですね、その可能性もあります。
一色:居場所を求めたいって感覚は安心したいっていうのとは違う?
優笑:安心…近いかもしれないです。
一色:居場所…そっか、面白いのよ、僕とある種対極なんだよね。僕は居場所が欲しくない人だったから、優笑の居場所が欲しいっていうのはどんな感覚なのかなって。安心が欲しいってことは何かに不安を抱いているのか、それは今の局地的なものの不安なのか、それとも将来とか大きい不安なのかとか、むしろ何か大きい期待があってのことなのかなとか。すごく哲学的な話になっちゃうけど、こういう話大好きだからさ。
優笑:私にとっての居場所って多分色々あって、「それ居場所じゃない?」って言われたらそうかもしれないって言えるところは色々あるんですけど、私が求めている完璧な居場所は、自分でもそんなものはないって思いながら求めていて、生きる意味とかそういうところから考え始めて……生きる意味とか結局分からないんですけど。それでも居場所を求めるしかなくて、結局一番最後まで手に入れることはできないんじゃないかっていう。
一色:今一個ピンときたんだけど、居場所を求め続けるしかないって感覚は分かるかも。俺もそうだったのかもしれないな。言い方カッコつけるけど、例えば鳥が色々なところに巣を作っていくというか、一つのところには留まらないけどそこで子どもを作ってまた羽ばたいていってまた仲間を作っていくみたいなことがしたいなって思ってたけど、居場所をひとつ のところにつくりたいけど作れる自信もなくて、そのひとつのところの居場所がそんなに強固なものとも思えないし、いつか自分がそこの場所を好きでもそこの場所自体が崩れる可能性もあるし、その場所が自分の力でどうにかなるものでもないし、だからその場所ってところがすごく好きではあるけど信頼できないし、信頼しちゃいけないみたいな感覚があって。だったら自分が強くなくちゃいけないというか、巣を強くするというよりも自分が強い鳥になっていかなくちゃいけないというか、自分で羽ばたいていかなくちゃいけない、どこにでも順応できないといけないみたいな感覚があるのかもしれないな。自分はそうだったのかもしれないな。居場所がいらないんじゃなくて、居場所を求めたい人だったんだろうな自分はって、今優笑の話聞いて思ったね。だからなんか、優笑もそうなのかもしれないねっていうと烏滸がましいけど、優笑が劇研の中でも居場所を求めて、だけどそれが絶対的なものではなくて、自分でもそれが何かはわからないけども、でも求め続けはしますよ。みたいなのが、それが今しっくりきたかなあ。
優笑:あー今聞いててすごい思ったんですけど、私も居場所をすごく求め続けてて、でも無理だったって納得するまでそれをやりたくて。
一色:そうだよね!そうだよね!
優笑:無理ってなることは心の奥底で分かってて、でも本当に無理だって思うまでやって、多分また無理だってなったら次に行くんですけど。だから、今劇研で最後に無理だってなるまでやってる最終期の最中で、自分の中ではもう最後の最後みたいな時期なんだと思います。なので、そうですね、全部可能性を消して、これは無理だってなった時に次に行きたいからエチューダーとかもやったり。何に繋がってるかとかは正直わからないんですけど、とにかく全部やってから次に行こうって感覚です。
一色:優笑が言った可能性を全部探るっていうのもすごく分かって、可能性を知らないまま見切りをつけちゃうっていうのは悲しいし、ここで自分が何をしきれるか探るのってやっぱり自分のためでもあるとは思うんだよね。優笑が劇研で探求しうる最後の時期かもしれないって言ってたけど、エチューダーをやって、もしまた新しいやりたいことが見つかったらそれはそれで良いと思うし、その子たちと一緒に劇団作りたいとかなっても面白いかもしれないし。その時は自分の心の赴くまま劇研にもう何年も居ても全然良いと思うし、なんかその辺りはすごくフレキシブルでいいだろうなっていうのも思いつつ。
でも面白かったのは、脚本をパーって少し読んだときにすごくナチュラルな会話で作られつつも、優笑が憧れてきたものと劇研イズムが混じってる脚本なのかもしれないなって思って。きちんとは読めてないから申し訳ないんだけど、優笑の憧れの部分って何だろうなって思ったから、ゴジゲンとか松居さんとかそっちの方なのかーって思って少し納得したんだよね。
優笑:そうですね、奥底にはそういう部分に憧れる自分がいて、表面の方はかっこつける自分がいるみたいな。その2人が共存していて。私が普段表に出すのは割と自分の中ではかっこつけてるというか、というより、思ったことをそのまま口に出したりするのが下手、考えないことが下手なだけではあるんですが。そういうものに覆われまくっていてそれへのコンプレックスも感じていた時期に劇研のお試し稽古に行って、わーって湧き上がってきたものがあって。自分は何かを抑え込んだ表現が普段多くて、底にいる自分をそのまま出すみたいなのが苦手なんですけど、なんかそこを消しちゃいけない気がして。それをこの絶対やりたい人達と最初で最後ではないかもしれないけど、一番最初に劇研でやりたいっていうのがあります。
一色:いやあ劇研ってほんとに、変態しかいない場所だよね~。(笑)
優笑:(笑)
一色:ほんとに変態な奴しか残らないっすわ(笑)。それがちょっと居心地の良さでもあるし、変態の中でも一番変態になりたいみたいなところもあるし、すごく健全な場所でもあるなとも思うよね。
でも最初の話に戻るけど、多分この企画の一番強い所はキャプテンであるあなたが好きな人しか集めなかったっていうところだと思うのね。これってなかなか叶わないことです。
自分が好きでもその人が集まってくれないことだってあるし、お仕事になったりするとスケジュールが合わないとかも出てきたり。だけど今好きな人だけひとつのところに集められたあなたって結構最強なポジションにいてさ。最後って言ってたけど、最後になってもいいし、そうならなくても全然良いと思うけど、やりたいことを全部、上手くいこうがいかなかろうが好きな人達に投げるっていうことができるといいんだろうね。好きな人達も投げてもらったら嬉しいと思う。こういうのやりたいっていうのを一種かっこつけずに「こんなものを作ったからやってください!」っていう完成系だけを投げるんじゃなくて、今回大好きな人達に集まってもらってこんなことをやりたいっていうのだけは浮かんでいるんですが、実現するに思い浮かばないんですけど知恵貸してくれやしやせんかねって投げれる特権的なポジションでもあるから。あなたは今最強なポジションにいるよってことだけは思っていいと思う。企画公演成功させてね、っていうか成功するから。あとはどれだけ成功のレベルを上げられるかの欲張りのレベルだと思うから。うん、楽しんでね。
優笑:はい!ありがとうございます
一色:とんでもないです
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