現役劇研員のリアルな言葉をお届けする恒例の対談企画。第一弾は役者・舞台監督として劇研内外で活躍している田中豪(3年代)と、新歓公演『センデンカイギ』に出演する稲葉捺月(2年代)が登場!
劇研に来た理由
田中豪(以下、豪) 3年代で幹事長をやらせていただいております。田中豪と申します。よろしくお願いいたします。
稲葉捺月(以下、捺月) 稲葉捺月です。舞台美術とかもやってます。お願いします。
豪 劇研を選んだ理由は結構シンプルですね。演劇をやりたいと思って「演劇 大学」って調べたら「早稲田」って出てきて、「早稲田大学演劇研究会」っていうのがトップにあって。じゃあこれに行こうっていう,それだけ。背景としては、高校とか中学で演劇を演じたことはなくて、高校3年生の体育祭で「不協和音」(欅坂46)って曲を踊ったのよ。
豪 その時にちょっと楽しくなっちゃって、みんなで何かやるのがね。その時はドラマも意外と見ていて、スクリーンに映ってるキャスト内の人達だけじゃなくて裏にも人がいるんだなっていうことにそこで初めて気付いたの。大学生になってもみんなで何かを作ってみたいってなった時に演劇かなって思ったのが背景でございますね。
捺月 私が劇研に入ろうと思ったきっかけですよね。同じなんですよ。インカレ行ってみたいと思ってネットで「演劇」って調べたら「早稲田」って出てきて。違うサークルも色々回ったんですよ。でも何か違うなと。パッションがある方が好きだったし、ここのお試し稽古とか凄かったので。
豪 なるほどね。
捺月 演劇をやりたかったのは、映像系のスタッフさんになりたかったんですけど、映像系って怖い(※個人の意見です)じゃないですか。
豪 怖い!?
捺月 セクハラとか・・・・・・。
豪 なるほどね(笑)。そういうイメージがあったんだね。
捺月 怖いイメージがあったんですけど、演劇って生の役者さんも見られるし、生き生きしてるから健全な感じが。それで演劇やりたいなって。
豪 それは中高からやりたかったって感じなの?。
捺月 全くです。中高はバトミントン部だったので。
豪 大学に入って、何したいかなって考えた時に演劇なんだ。
捺月 そうです。しかも2年生から。
豪 俺は逆に劇研しか行ってない。
捺月 そうなんですか?
豪 他は調べることが頭になかった、馬鹿だったから(笑)。「演劇研究会」って出てきて、よし、ここに入ろうってなった瞬間に他の選択肢消す人だから。
新人訓練について
捺月 自分は誰にも見られてないってずっと思ってました。なんかもう孤独で。「先輩からも絶対わたし見られてないんだな」ってずっと思ってて。
豪 ほお~
捺月 目立つ子がやっぱり見られるし、褒められたりとか怒られたりするのも目立つ子しか言われないので。何も言われないから、「見えてないんだなこの人たち」って思って。
豪 見えてないんだなって思ってたんだ。
捺月 見えてないんだろうなって思って。
豪 そっか。でもみんな孤独なのか。
捺月 そんな感じします。
豪 そうだよね。結局・・・・・・何だろうね。みんな自分探しの旅に出かけるじゃん。それで孤独になるのはね、すごいわかる気がする。
捺月 でも最終的にチームみたいになって、(新人試演会が)オムニバス形式だったので、「この人自分の事見てくれてたんだ」って。こういうところがいいよ、だからこういう役やりな、みたいな感じで言ってくれた時に、見てくれてたんだって。
豪 そうだね。自分のことで精一杯だったから喋らないだけで、みんな色んな人を見てると思う。俺は新人訓練の時は端っこにいた。なんで端にいたかっていうと、とりあえず全員を視界に収めておきたかったの。だからストレッチとかも何か(舞台端を指さして)そこら辺でやって。とりあえず全員見える配置で、こいつ何やってるんだろこの時、みたいなのを見てたりした。だから孤独を感じてしまうけど、最後みんなで一つの物を作るってなった時に、仲間になるみたいなのはちょっといいよね。
捺月 敵がアドバイスくれたりしますよね。
豪 そうね。一番近くで見てたから出るアドバイスをくれたり。
――21年度新人訓練時の豪が怖かったという噂がありますが。
豪 ルールを守ってくださいってことで。雑巾で足拭いてから(舞台に)上がれとか、なにか終わった瞬間に一列に並ぶとかね。考えれば分かるじゃないかみたいな。なんなら自分たちの時もそうだったのかなって思っちゃった。
豪 そう思ってより上の人に聞いたら、みんな意外とそうだったんだよね。恥ずかしいよね。やっぱりそこらへんのメリハリは怖かったですか。
捺月 怖かったですね(笑)。
豪 ニコニコしてながら怖かったって言われたよ(笑)。
捺月 怖かったですけど、自分の仕事に責任感を持ってやってる方なんだなっていうのを感じました。ただ怖いだけじゃなくてちゃんと中身がある怖さだったので。
豪 良かったです。理不尽じゃなかった。
捺月 理不尽じゃなかったです。言ってることも一貫性あって格好よかった。
舞台監督・舞台美術を担う二人
豪 捺月は舞台美術っていうセクションに興味があるんだよね。
捺月 はい。
豪 舞台美術っていうのは簡単に言うとセットじゃん。セットを、うちのサークルでは自分たちで作るわけじゃないですか。新人訓練の期間に稽古とは別に作業っていう日があって。どうでした?自分たちで舞台を作るっていう感覚は。
捺月 最初は何でこんなん作らされてるんだろうって(笑)。
豪 至極まっとうな意見でございます。
捺月 変な木を接続して、
豪 変な木を接続して(笑)
捺月 何かを作ってるんだろうなっていうのはあったんですけど、何になるんだろうって思って。
豪 あっそうなんだ。何になるんだろうって思ってたんだ。
捺月 そしたら仕込みっていうその部品を組み立てていく作業の時に、この木がここになって、これはここになるんだ!って思って。「乗っても壊れない!」みたいな。
豪 自分が作ったものに対する感動がね。そうだよね。部品を一個一個作っている時にどうなるのかの想像が最初はつきにくいよね。セットは企画公演ごとに違って、おぉ、すげえってなるよね。ここでやるのか演劇、みたいな感じになって。
豪 だから自分たちで作るっていう楽しさも一つの魅力だと感じておりますね。
捺月『幸福の標本』(22年2月の企画公演)の時に感じたのは、役者さんたちで最後写真を撮るじゃないですか。次にスタッフさんも全部含めて写真を撮ったりする時に、「この人たちに支えられたからこんな凄いことができてるんだ」って思いました。
豪 自分もそのスタッフ側になることもできるし、役者になることもできるから相互感謝を学べる場だね。自分がやりたいことやってる分、何かを返せることの意義、大切さをね、学べると思います。
最後に
豪 第1弾ということで私たち二人が呼ばれてしまったわけですけれども。もうちょっと面白い人たちが次の回とか、次の次の回とか、楽しい話をしてくれると思うので。是非お楽しみに!
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