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執筆者の写真早大劇研20新歓

劇研の声|演劇経験者×演劇未経験者【対談編vol.3】


2021年度早大劇研新歓インタビュー企画『劇研の声-対談編-』、第三回は「演劇経験者×演劇未経験者」。


劇研員対談 「演劇経験者×演劇未経験者」


今回は中高演劇部であった池森香乃(いけもりかの)さん〈タイトル写真左〉と演劇未経験者であった鈴木はる香(すずきはるか)〈タイトル写真右〉さんにお越しいただきました。そんな経歴の違ったお二人に話を伺います!


互いの印象

―お互いのエチュードを初めて見たときの印象は?


はる香 香乃のエチュードは、めっちゃ場を回すなって思った。出てきた瞬間を全部かっさらって自分の劇にするって感じ。


香乃 はる香は、自分のパーソナリティーをめっちゃ外に出すなって思った。自分はこういう性格でっていうのを出してて、すごいなあって思う。


はる香 香乃はね、『東京喰種トーキョーグール』の困ったときの董香ちゃんのモノマネしすぎて、声枯らして来れなくなっちゃったのめっちゃ覚えてる笑


香乃 あー、あった、あったね笑


香乃 いやー、はる香はやっぱ五条悟でしょ。『呪術廻戦』は知らなかったから、後から見て、あ!五条悟だって思って。意味がわかって、めっちゃおもしろかった。


はる香 あれはこれからもやる笑


―今だからわかる相手のエチュードの特徴や癖は?


はる香 めっちゃ綺麗なエチュードをするなって思う。


香乃 もう何も恐れないで全てに身を任せようという感じがあるのがはる香で、私は拾い集めてどうにか次にっていう感じで考えすぎてて、まあ真逆だったよね。


はる香 帰りの電車で言ってたよね。あれだ。私はマジで何も考えずに、わーって出るけど、香乃はめっちゃ構成を全部自分の中で考えてからその役通りに出るっていうのが、逆だねっていう話をしたよね。


香乃 した!あと癖は…、なんだっけ、膝触るだっけ?


はる香 そうそう、困るとずっと膝触っちゃうの。それで、疲れてる見えるよって言われてから、膝をつくと死ぬっていうエチュードをしてた。


香乃 あーそうだね笑


はる香 香乃の癖、癖か。癖っていうかめっちゃいいところだなって思ったのは、ひたすら誰かに届ける演技をするところ。私はそれができなくて、一本橋エチュード(←稽古メニュー名)とか、相手との掛け合いがマジでできなかったから、香乃いいなあって、ずっと思ってた。



新人訓練を通しての発見や変化

―演劇経験者だからこそ辛く感じたことは?


香乃 あーー、やっぱり中学高校の時にやってきた演劇とは全然違くて。私あんまり調べずにここに入ったんだよ。ここしか知らなくて入ったから、入ったら台本を渡されるようなお芝居をやるのかなって思ってたのね。そしたらむしろ自己発見に近い感じのことをここはやってて。私がやってたのは何者かになれる演劇だったから、こっちだと自分が何者かを発見する場みたいな感じだったのが、芝居しに来てんのになんで自己発見なんかってちょっと思って。今思うとすごい貴重な機会だったと思うけど、最初はそう思ってて、辛いっていうか、合わないなって思ったから、やめますって言った事ある。


はる香 言ってたね笑 ずっと一緒に帰ってたのに、いきなり来なくなって、あいつやめたわって思ったもん。


香乃 やめる瀬戸際まで行ったね笑 あと、それこそさっきのエチュードとかも、やってきたからこそ回さなきゃっていう思いが強すぎて、どれだけエチュードがうまくいっても香乃の中身が見えないって言われたのは、結構コンプレックスだったなーとは思う。未経験っていうまっさらさがないからさ。それは、未経験の人たちはここで初めてを経験できていいなーって思ってた。

はる香 えー、でも私からしたらやっぱ慣れてていいなーって思ってた。経験者の人たち、出だしからもう違うから、あー慣れとるやんって。


香乃 あ、でもそれで言うと、奥泉さん(←2020年度のエチューダー〈劇研の声対談編vol.1に登場〉)が経験者と未経験者の扱いに差を出さなかったのはすごいありがたかったなってめっちゃ思う。経験してるからできるとかは絶対言われなかったし、未経験の人にも未経験だからここができないとかっていうのも言ってなかったから、それはすごいよかったなって思うよね。


はる香 うんうんうん。私も、よく奥泉さんに「私演劇やったことないからもう全然できないです」ってよく言いに行ってたけど、その度に、「いや、やってないとかやってたとかそんな関係ないから」ってずっと言われてて、「別に俺は差ないと思うけどな」って言われて、そんなどうせ自分は未経験だから無理だわって思ってたけど、そんなこともないのかもしれないって気づかせてもらえたから、奥泉さんに教えてもらえてよかったなーって。


香乃 それは、ある。私も、やめるかやめないかの瀬戸際になった時に、奥泉さんに止められて、奥泉さんの存在がストッパーになった。自分が芝居したいとかっていう気持ちよりこの人との関係を断つ、この人の下で指導を受けられなくなるのはちょっと嫌だなって思って、耐えるかーってなったから、それはありがたかったし、感謝してしますって感じ。


はる香 ビデオメッセージみたいになっちゃった笑 奥泉さんへの笑



―どんな自分を発見した?


香乃 はる香はそれこそめっちゃ悩んでなかった?奥泉さんに「どうしたらいいんですかー」って結構言ってるイメージあった。


はる香 確かに。毎日言ってた。もう分かんないですって。自己発見っていうか、どの役やってもはる香が出てくるんだよなーって言われて、なんかそれはいいのかな?ってずっと思ってる。


香乃 私は自己発見でいうと、うまくやろうって自分で意識してるつもりはなかったけど、そういう風に指摘されて、何も考えずに出るっていうことを恐れてたなっていうか、なんか結構失敗が怖いタイプなのかもって思った。


はる香 あーそっちか。


香乃 今も結構言われるけど、正解を探そうとしすぎだって。


はる香 あー言われてたね。


香乃 うん。言われて、自分で全然気づいてなかったから、確かにって思って。最初はそれ言われた時に、何が間違ってるの?て思ってたけど、色々考えて、「遠回りこそ最短ルートだ」っていうことを言われて、納得した。あー確かにって思う練習の方法がいっぱいあったから、結構ビビリなんだなあって思った。


はる香 めっちゃ学びになるよな。私はあれだ、自己発見っていうか、最初はすごい前に出るのが怖かった。お試し稽古の頃は、3分間自己紹介(←稽古メニュー名)で一人で前に立って3分間やるのとか、え、絶対無理って思ってたんだけど、もう前に出て何かをするっていうのも全然怖くなくなって、緊張もしなくなって。


香乃 すごいね、それは。


はる香 何かしろって言われても、はい!ってできちゃうようになったから、すごいなって。なんか変わったなって、自分が。自己発見というより、このお試し稽古から新人訓練の間でだいぶ変わった。前の自分がもうどっか行っちゃった。でも、良い方に変わったなと思ってる。


香乃 確かに。私も演劇が好きですとかお芝居が好きですとかってあんまり人に言えなくて、なんかここのサークル入るのも誰にも言ってなかったんだけど、それを、お芝居が大好きっていう気持ちを素直に伝えて、俺も私もって言ってくれる人たちに出会えたから、正直になれる場ができたっていうのは大きい変化だなって思う。


はる香 わかる!ここ自分出すのが大好きな人の集まりだから。私もともとめっちゃ目立ちたがり屋で、人前に立つこととか大好きなタイプだから。でもそれはさすがに言えないじゃん。人前に立って芝居してえとか言えないから。


香乃 ちょっと恥ずかしいもんね。


はる香 でも、ここに来て、なんかもういるじゃん。あ、ジュノンボーイやろう、みたいな人が!なんかそれ見て、やっぱそういうのありだよねって思って。別に自分を表現することって何も悪いことじゃないから、それを人の目気にして遠慮する必要ないじゃんって。そういう人たちがここに集まってくれて、出会えて、自分もどんどん自分を発信してっていいんだって思えたから、めっちゃここ入って良かったって思う。


香乃 うん、それが一番!芝居が上手くなったとかよりも先に出てくる。


はる香 そう!


香乃 自分を表現する場所ができたっていうのは本当に。


はる香 そう。どんな自己発信をしても、いいじゃんって言ってくれる味方がいるってね、めちゃめちゃ強いから。もうそれが本当に最高だなって。


香乃 失敗してもすべっても。


はる香 そう!



―演劇を通して人間関係に変化は起きた?


はる香 それこそあれだ、周りの目を気にして自分がやりたいことやらないってことをしなくなった。周りにどう思われてもいいやって思って。ここの人たちいるから別に高校中学の人に、こいつなんか芝居やってるよみたいに思われても、なんでもいいやって思えるようにはなった。


香乃 私は逆に、ちょっと離れたまでは言わないけど、なんか凄いねーみたいな、一歩引いた感じで言われたことがある。なんだろう、そのやっぱりここに通う日数も多いし、やってる内容も一般が想像する女子大生のやってることではないから、例えば、遊びに行こうって言われても稽古があってってなって、まあそういうのが積み重なって。もちろん応援してくれる人たちもいる中で、もちろん応援がベースなんだけど、なんか変わったねっていうのを言われて、ちょっと悩んだ。あれ、どうしたらいいんだっけって思ったけど、良い方向に変わってる、成長できてるって自分で思えてることが一番大事なのかなって思うから、どういう風な自分でも受け入れてくれるんじゃないかって思う人たちがここにいるだけでまあいいやと思って。だから、あんまり良い変化じゃなかったかもしれないけど、多分普通の大学生活送ってたら味あわなかったであろう変化はちょっとあったかな。


はる香 普通の大学生活を絶対送りたくなかったから。


香乃 うん、わかるわかる!


はる香 なんて言うんだろう。適当にサークル入ってみんなでバーベキューしよーみたいな。そういうのよりも、絶対ガチで何か1個したいって思ってたから。よしここだって思って。で、お試し稽古から、やばいここって思って、絶対入ろうって。


香乃 まあ、私が受験当時想像してた大学生活とは180度違う。


はる香 私、1回もキャンパス通ってなくて、大学の友達が一人しかいなくて、もうここしか繋がりがないから、もうなんかすごいよね、(劇研員の同期が)家族になってる。


香乃 うん。家族になってるし、しかも、もし、誰かが外部に行ったとか、外に出るってなったとしても、応援してくれるだろうなって思う。



―以前舞台を観たときには思わなかった、今だから思うことは?


はる香 私は、もうアニメとか映画とかドラマとか、なんか演技系が全部すごい研究の眼で観るようになって。演劇始める前のまっさらな気持ちで観れなくなった。こここうやってとか、めっちゃ演技うまいとかで観るようになっちゃって、なんか悪いことではないけどそれはいいことなのか?って。


香乃 私はそのまま。おもしろーいとか、キューンとか。もうそんな感じ。


はる香 マジ??


香乃 でも、なんだろう。舞台美術とか見て、わーこれめっちゃ作るの大変だったんだろうなとかは思うかな。あれはどこが上手いんだろうとかってちょろっと思うことはあるけど、あんまりそこを意識はしてない笑


はる香 マジか!わかんないけど、私はめっちゃそっちの視点から観ちゃってて…


香乃 うーん、いいこと。いいことだと思う。


はる香 確かに。盗もうとしてるって感じは、いいことか。


香乃 私はドラマとかよりは同期とか先輩方のお芝居を観て盗もうっていう方が多いかも。やっぱドラマとか舞台とかだとお客さんとして観に行っちゃうから。そうじゃない近しい、それこそ(同期や先輩の)エチュードとかで、このタイミングでこのセリフ入れるのいいなとか、この勘違いおもしろいなとか。周りの人から盗む方が多いかもしれない。


はる香 そうだね。あ、あれだ。多分香乃はエチュードとか観る時は同期として観るけど、(舞台は)お客さんとして観てるんだ。私は、多分全部その同期の視点で観てるわ…笑


香乃 じゃあ、どの女優も全員同期?笑


はる香 やばいやばいやばい。同期かも笑 いや、なんか同期っていうか同じ演技をしている者同士の視点で観ちゃうから、もーーダメなんだ。やってないくせにそんな。未経験者として今日来てるのに笑


香乃 もう未経験じゃないからね笑


はる香 そうだね笑



池森香乃さん、鈴木はる香さん、ありがとうございました!

次回は「旧人(←2年代以上の劇研員)×2021年度エチューダー」。5月14日(金)更新予定です。お楽しみに!


 

【早大劇研2021年度新人募集】

18歳以上100歳未満。

大学、所属、経歴、一切不問。

例年の入会までの流れ、新人訓練などについてはこちら

今年度の入会意思決定日は6月13日。

新人試演会は9月5日(予定)。

最新情報は早大劇研公式Twitterで随時公開。早大劇研Instagramも更新中!

 

※映像配信のみとなっております。


【早大劇研“再生”企画公演『サンカク』】

サイカイ、カクサク、カイサイ。

“再生”などと大仰な看板を掲げて打ち立てる4年ぶりの企画公演。

参画するは三人の脚本家。

「だれが一番おもしろい演劇を作るか。」

実績なき原石たちのイス取りゲーム、いま開幕。


池森香乃と鈴木はる香が公演内の作品『地下鉄45番線』に出演します!

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